こんがりと焼いたトーストに塗るものといえばバターないしはマーガリンというのがもっぱらな家の子供だった僕にとって、朝の食卓に時々登場する瓶詰めのジャムは、塗って食べることよりも運だめしを楽しむことに重きを置いた一品だった。
赤い半透明のイチゴジャムをティースプーンですくいあげた中に偶然混じる果肉の粒の大きさに比例して、その日の運の良し悪しが決まるのだ。
そのささやかな運だめし遊びは、実はオトナになった今でも、僕の朝の食卓におけるひそかな慣わしとして続いているのだということを、この際だから告白しておこう。
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「フルケン食堂」カテゴリーアーカイブ
ボガーツカフェでアサイボウルをどうぞ。
Hawaiian Isle Seasonings
たとえば家にゲストを招き、自ら腕を奮って豪勢な食事でもてなすような、そんな凝ったことはなにひとつできないのだけれど、自分ひとりのお腹を満たす程度の手軽な食事を作ることぐらいなら、この僕にだってできる。
食材はクセがなく、できるだけシンプルなものを揃える。凝った調理の仕方を知らない分、メニューレパートリーのヴァリエーションを増やすための工夫だ。そのシンプルな食材を手軽に美味しく味付けするために、キッチンにはいくつかの調味料を揃えているけれど、その中で僕が重宝してよく使うもののひとつが、このシーズニングソルトだ。
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リセットさせる、朝ごはん。
「朝食を中心として、朝の時間は、きわめて個人的なものだ。だから、できるだけ個人的に、そして自分の気にいったものにしたい。メニューは、要するにそれは毎朝のことなのだから、完璧である必要はどこにもない。今朝はこれだ、とひらめいたものを、そのとおりに作ればそれでいい。やりすぎないことだ。」
片岡義男:著 『頬よせてホノルル』 より
LION COFFEEはお好きですか?
日がな一日仕事に没頭して、気がつけば午後3時。ちょっと休んでコーヒーを淹れることにした。
コーヒーサーバーに乗せたKalitaのドリッパーにMelittaの#2ペーパーフィルターをセットし、ここにライオンコーヒーのバニラ・マカダミア・フレーバーをメジャーカップで1杯、10グラムを落とす。
お湯が沸いたら、少しだけドリッパーに注いでコーヒーを1分ほど蒸らし、その後円を描くようにたっぷりと注いでできあがり。キッチンは甘いバニラの香りで満たされる。
このバニラの香りは好き嫌いが分かれるようだけれど、僕はもう何年もこれを楽しんでいる。
フレーバーコーヒーの代名詞ともいえる、精悍な雄のライオンの顔が描かれたLION COFFEEの赤いラベルのパッケージは、Hawaiian HostのマカダミアナッツチョコレートやMAUNA LOAのマカダミアナッツと並んで日本から訪れた多くの人が買って帰るハワイを代表する商品だけれど、その生まれは1864年のアメリカ本土に遡る。その後LION COFFEEの名前は一度消えてしまうのだけど、1979年にホノルルで復活する。
ライオンの顔があしらわれた、パッケージを密封させるための小さな金色のクリップを集めるのもまた楽しいものだ。
疲れた頭をバニラの香りで休めたら、もうひとふんばり頑張るとしよう。