たとえば家にゲストを招き、自ら腕を奮って豪勢な食事でもてなすような、そんな凝ったことはなにひとつできないのだけれど、自分ひとりのお腹を満たす程度の手軽な食事を作ることぐらいなら、この僕にだってできる。
食材はクセがなく、できるだけシンプルなものを揃える。凝った調理の仕方を知らない分、メニューレパートリーのヴァリエーションを増やすための工夫だ。そのシンプルな食材を手軽に美味しく味付けするために、キッチンにはいくつかの調味料を揃えているけれど、その中で僕が重宝してよく使うもののひとつが、このシーズニングソルトだ。
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月別アーカイブ: 2010年10月
思い出のピンバッジ
格安な料金を売りにしたLCCの台頭や経営コストの逼迫によって、航空業界は企業合併や整理がすすんでいる。
そんな状況のさなか、今年の1月30日にロサンゼルス国際空港からラスベガスのマッカラン国際空港へ向けたフライトを最後に、デルタ航空に完全統合されたノースウエスト航空。円周の内側に北西の方角を示す三角形が描かれたロゴマークが印象的な赤い尾翼も、もう見ることができなくなってしまった。
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形が、変わってきた!?
はるか太古の昔の噴火によって今のように形作られてから約30万年。いつの時代にもこの島の揺るぎないアイコンとして親しまれ続けている、ダイヤモンドヘッドと呼ばれるクレーター。
僕がここを最後に登ったのは、今からもう15年くらい前になる。現在はこのクレーターに登るには入場料として1ドル、さらに、麓まで車で行くなら駐車料金として5ドルを支払う必要があるようだけど、その当時はそのようなお金など払うことなく、自由に訪れて登ることができた。
このダイヤモンドヘッドは、ここ10年ほどのあいだで、見る人が見ればわかるほどに、浸食によって頂上付近の形がすこしずつ変わってきているのだそうだ。
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小さな町の床屋さん
朝から気持ちよく晴れた、マノアの午前9時。ふと通りかかったバーバーショップ。
赤・白・青の斜めの線が回転するおなじみの看板がないかわりに、大きな窓の内側から吊り下げられたハンドメイドの看板に「Manoa BARBER SHOP」の文字がトリコロールカラーで縁取られていた。
中ではせっせとお客さんの髪を切る店のおばちゃんの姿。
「この町、好き?」
「はい」
「ふぅん。。。」
「落ち着きます」
「落ち着く?若いくせに・・・若いくせに年寄りの相手してどうするの。なんでもできるんだから。若いってそういうことなんだからさ」
映画「ホノカアボーイ」の中でレオがバーバーのみずえさんに髪を切ってもらっているときの、こんな会話が聞こえてくるようだ。
僕が子供だった頃、よく父親に近所の床屋さんへ連れて行かれては、いやいや坊主っくりにされたものだ。
渓谷の深い緑で周りを囲まれた静かな町に、きょうも静かな時間が流れている。
リセットさせる、朝ごはん。
「朝食を中心として、朝の時間は、きわめて個人的なものだ。だから、できるだけ個人的に、そして自分の気にいったものにしたい。メニューは、要するにそれは毎朝のことなのだから、完璧である必要はどこにもない。今朝はこれだ、とひらめいたものを、そのとおりに作ればそれでいい。やりすぎないことだ。」
片岡義男:著 『頬よせてホノルル』 より
ラニーニャの冬がやってくる。
ロシアでの猛暑による干ばつ、中国での長期にわたる大雨による洪水、南米ボリビアでの寒波による初降雪。
「過去最悪の」、「観測史上初となる」といったフレーズが今年もまた世界中から繰り返し伝えられ、もはやこれが「通常」のようになってしまったかのような地球規模の異常気象。今年はその影響がまた一段と大きくなっているように感じる。
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ホクレア~カマクラ | Aloha!未来 ~ハワイの心、ホクレア号日本へ~
先日のJHCA主催のイベント「未来に向かうカヌーのちから」があった翌日、2007年に行われたホクレア号のサタワル島と日本各地への航海を追った記録映像作品「Aloha!未来 ~ハワイの心、ホクレア号日本へ~」の上映会が、東京・渋谷にあるPatagonia Oceansで行われました。
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ランチともだち。
ハレイワでちょっとした用事を済ませたらお昼をとっくに過ぎた時間になってしまい、ついでのようにSunset Beachまで足を延ばした帰り道。Ted’sのプレートランチとパイを持ち帰りにして、Ehukai Beachでずいぶんと遅いランチを摂った。
ふと背後に気配を感じて振り向くと、どっしりと体格のいい、栄養の行き届いた一匹の犬が僕の足元でくつろいでいた。
いつからそこにいたのかも気がつかなかったのだけれど、こうして出会ったのも何かの縁だ。ランチにつきあってもらうことにした。
もしかしたら他に立派な呼び名があるのかもしれないけれど、ひとときの間だけ「ブラウン」と名乗ってもらうことにした。
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ホクレア~カマクラ | 未来に向かうカヌーのちから
先日、カマクラ号建造の実現に向けて一歩後押しする企画として、日本ハワイアンカヌー協会(JHCA)が主催となって神奈川県の湘南・三浦地域や横浜を中心にした各種のイベントやワークショップが開催されました。そのひとつとして、「未来に向かうカヌーのちから」と題して、ホクレア号をはじめとした航海カヌーのクルーであるチャッドさん、ポマイさん、デニスさんをハワイからお招きした語らいのイベントがあり、Hokule’a航海にまつわる様々なお話を直接聞くことができました。
彼らが語る言葉の中に、心に深く染みこむいくつものキーワードがありました。
「自分は誰なのか。どこへ行こうとしているのか。それを知るには、まず、自分がどこから来たのかを知る必要がある」
チャッドさんはそう語っていました。
「自分がどこから来たのかを知ってさえいれば、どこにだって航海に出て行くことができる」と。
数多くの航海体験から紡ぎだされる、シンプルでありながらズバリ本質を突いたひとつひとつの言葉は、とても一度にはお伝えできるものではありません。これから少しずつ自分なりに消化して、一人でも多くの人にお伝えできればと思っています。
JHCAとは?カマクラ号とは?こちらからどうぞ。
NPO法人 日本ハワイアンカヌー協会|Japan Hawai’ian Canue Association
http://www.kamakurago.com/
ホクレア号とは?こちらからどうぞ。
ハワイ州観光局
http://www.gohawaii.jp/history/hokulea/hokulea01.html
1ドル25セントのタイムマシン
Amazon.comのKindleやAppleのiPadの出現で、読書にも「効率化」の波がおとずれそうな気配の昨今。ハンディな電子端末機器には、紙でできた本など問題にもならないほどの膨大な量の情報を収めることができる。しかし、装丁の美しさや手にしたときの質感、時を経た独特の色合いや香りといった、紙媒体の書籍だけが持つ味わいは、効率や情報量の話だけでは決して片付けることのできない、本というものが持つ重要な価値のひとつだと考える。
「ALL ABOUT HAWAII」とタイトルがつけられた、文庫本ほどのサイズのこの本。
題名が示すとおり、島の歴史や文化、気候、そこに暮らす人々や言語、産業、教育、政治など、ハワイという土地のあらゆる面を全352ページを使って解説した、1962年に第86版としてStar-Bulletin Printing社から発行されたものだ。エキゾチックな黒髪の美しい女性がイラストになった表紙や、1冊1ドル25セントという値段が、時代を感じさせてくれる。
当時のハワイの社会情勢を伝える統計的な細かい数字なども載っていて圧倒的に活字の割合が多いのだけれど、文章を補足するためにところどころに挿入されている図柄や古い写真はどれも興味深い。特に文字フォントや広告のデザインには、今の時代では出すことのできない古き良き時代の雰囲気が濃厚に漂っていて、手にとって眺めているだけで一瞬にして50年も前の過去にタイムスリップしたかのような楽しさが味わえる。これもたっぷりと染みこんだ時間が創り出す、紙の原物ならではの味わいのひとつなのだ。
そんな味わい深い広告デザインの数々を、これから折に触れてご紹介していきたいと思います。