Kam Hwy.で見かけた、僕の目の前を走るTheBusのルート番号の表示盤に、とびきりの笑顔が三つ並んでいることに気がついた。
その笑顔のひとつなどは、こちらに向けて軽く舌を出していて、三兄弟の顔はそれぞれに少しづつ異なっているように見える凝りようだ。
TheBusの車体後部の小さな表示盤は、その枠内に縦25列/横11行で並べられ片面ずつ黒と黄色に塗り分けられたドットがマスゲームのように自動的に反転し切り替わることによって、数字や文字に見えるパターンを動的に繰り返し描くことができる仕掛けになっている。
いくつかの反転パターンがあるけれど、なかでも、このバスは現在回送中なので誰も乗せて運ぶことができませんよ、という意味のお知らせを極限まで簡略にした”NOT”、”IN”、”SVC”の表示を繰り返すメッセージルーティンは、僕がもっとも気に入っているパターンだ。
アクセルを強く踏み込んで走り去っていくTheBusの後ろ姿に刻まれた黄色いドット群の、デジタル的な英文字が絶妙な間隔で切り替わる瞬間のあの残像を見るたびに、この島の何でもないささやかな日常をいつも感じる。
ルート番号や簡略メッセージの表示パターンだけだと思っていたけれど、実はこんなおちゃめなスマイルを描き出すプログラムも組み込まれていたのだ。
偶然に街で見かけるとその日をハッピーに過ごすことができるといわれている、ある特定の種類と色との組み合わせのクルマを誰が一番先に見つけるかという、実に前向きで幸せな遊びを、子どもの頃の僕は友達と一緒になってよくやったものだ。
そういえば、このTheBusを見たあとの僕の一日の残りは、いい予感がする刺激的な人々に出逢えたり、いい雰囲気のお店で、気の置けない仲間たちと美味しいものをいただけたりと、たいそうハッピーな時間だった。
もしかしたらこのスマイル3兄弟は、見た人にツキを呼び込む、、、のかもしれない。