ロシアでの猛暑による干ばつ、中国での長期にわたる大雨による洪水、南米ボリビアでの寒波による初降雪。
「過去最悪の」、「観測史上初となる」といったフレーズが今年もまた世界中から繰り返し伝えられ、もはやこれが「通常」のようになってしまったかのような地球規模の異常気象。今年はその影響がまた一段と大きくなっているように感じる。
先日、ハワイを含む中部太平洋地域の今年の冬の気候に関する長期的な予測がアメリカ国立気象局(National Weather Service)から発表された。異常気象の影響はこの地域でも例外ではなさそうだ。
今年の世界的な気象の変化は、赤道付近の海面温度が2度から3度下がるラニーニャ現象が引き起こしているといわれ、今後どのような影響が出てくるのか、そしてこの状態がいつまで続くのか予測するのが難しく、気象関係者の頭を悩ませている。今年の5月にアメリカ海洋大気庁気象業務部の中部太平洋ハリケーン・センター(National Oceanic and Atmospheric Administration’s Central Pacific Hurricane Center)は、11月末までのハリケーンシーズン中に中部太平洋地域において4~5つの熱帯低気圧が発生すると予測していたのだけれど、まだ1つも発生していない。
このまま穏やかな海の状態が続くと、冬のオアフ島の北海岸線一帯での開催を控えているいくつかの大きなサーフィンコンテストに影響が出てくる可能性がある。
「The Eddie」と呼ばれ、ここワイメアベイで行われるThe Quiksilver in Memory of Eddie Aikauと、サンセットビーチなどで行われるVans Triple Crown of Surfing tournamentsという、ビッグサーフィンコンテストにおけるスポークスウーマンをつとめるJodi Wilmottさんは、エルニーニョ現象とラニーニャ現象の動向に注意を払っている。
エルニーニョ現象が発生した年の冬は、大抵の場合巨大でグラッシーな波が立つのだけれど、逆にラニーニャ現象の年は風が強くチョッピーなコンディションになり、いい波が立たないといわれている。ラニーニャ現象が発生した年にThe Eddieが開催されたのは、過去には1995年の一度だけだ。しかもこのときは1ヒートだけしか行われなかった。
UHで海洋学の教授をつとめ、ノースショアのレジェンドでもあるRick Griggさんも、今年の冬の波のコンディションは平年を下回るだろうと予測している。
それでもやっぱり、今年もこの季節になると僕はThe Eddieのことがどうしても気になりはじめるのだ。
2009年冬のシーズンは、オープニングセレモニーの数日後にやってきた記録的なBig Waveによって5年ぶりに開催されたThe Eddie。開催25周年を記念するのにふさわしい大会になった。
あまりにも巨大で爆発的なパワーを持つ波は、時に周辺住民の生活にダメージを与え、不便を強いることがある。しかしそれでも、冬のノースはそのような誰も手がつけられないほどのモンスターウェーブがやってくるのが本来の姿なのであり、人間が生まれるよりもずっと前から繰り返されてきた自然の摂理なのだ。
「The bay calls the day.」
その大波をもたらす日はワイメア湾自身が決める。
今年のWaimea Bayはその日を決めてくれるだろうか。
今から約1か月半後の2010年12月2日(木)、The Eddie 2010/2011の3ヶ月間にわたるウェイティング期間がいよいよ始まる。