思い出のピンバッジ

Northwest Airlines | ノースウエスト航空
格安な料金を売りにしたLCCの台頭や経営コストの逼迫によって、航空業界は企業合併や整理がすすんでいる。
そんな状況のさなか、今年の1月30日にロサンゼルス国際空港からラスベガスのマッカラン国際空港へ向けたフライトを最後に、デルタ航空に完全統合されたノースウエスト航空。円周の内側に北西の方角を示す三角形が描かれたロゴマークが印象的な赤い尾翼も、もう見ることができなくなってしまった。

以前、ホノルル空港でNW便の搭乗手続きをしたときのこと。混雑のピーク時間が一旦落ち着き、人の姿が少し減ってきたお昼前の出発ロビーに到着した僕は、フライトまでにはまだすこし早めだったのだけれど、チェックインカウンターに向かった。
一時の忙しさから解放され余裕ができたグラウンドスタッフは、軽い会話を交わしながら僕の手続きに対応してくれた。様々なエアラインのステッカーが無節操に貼られ、あちこちに傷やへこみができて座りが悪くなってしまった僕のスーツケースを計量台の上に乗せると、その武骨な四角い箱に興味を持ったグラウンドスタッフの方が声をかけてきてすっかり話しこんでしまい、搭乗記念にどうぞと言って別れ際に僕にくれたのが、「nwa」のロゴマークの左右に翼のデザインをかたどった、この小さな金色のピンバッジだった。
1926年にプロペラ機による郵便の航空輸送からスタートしたNorthwest Airlines。ホノルルへの初就航は1948年にシアトルやワシントンDCとの間を結んだ国内線だった。第2次世界大戦後には草創期の日本航空の定期旅客運航を支えるなど、日本との結びつきも強い航空会社だったのだけれど、2008年10月にデルタ航空に合併されることが決まり、今年ついにラストフライトを迎えた。
プラスチック素材に金のメッキを施した小さなピンバッジは、子供のお菓子におまけとして付いてくるおもちゃのようなものだけど、今となっては貴重な思い出の品として、僕の自宅の書棚の片隅に埋もれながら、その長かった歴史を誇るかのように翼を広げて光り輝いている。

2 thoughts on “思い出のピンバッジ

  1. フルケンさん、こんばんは!
    若かりし頃勤めていた会社で私はアメリカ路線の航空券に携わる仕事をしていました。私はJL便のハワイ路線を担当していましたがノースウエスト航空も同じアメリカ線だったので携わった事がありました。そしてノースウエスト航空で旅をした事もありました。もう空を飛ぶ事が無くなったのですね…そういえば、こないだ空港に行った時に見かけなかったな…。何だか寂しい感じがします。バッチは大切な宝物ですね。あっ、息子が初海外、初一人旅で今、ハワイにいるんです!まだ海外行くには若い年齢なので着いて間なしという事で少しホームシックになってるようで心配していましたが今日私に感謝の言葉を伝えてくれました!飛行機で読んでね、と渡した彼への初めての手紙が彼にとっては宝物になったみたいです☆彼の今回のチャレンジはきっと人生で忘れられない大きな宝物になるでしょう☆ 私は日本で独身気分♪ といきたいとこですが、仕事や夢に向かう準備で相変わらずな日常です… 一人になりたかったのに今は一人が少し寂しいです…でも息子も頑張ってるので私も!!もしかしたら、どこかでフルケンさんとすれ違ってるのかな?とか考えたり…。私も来年、またハワイに行けるように頑張ります!

  2. Puaさん、こんにちは~。
    若くして海外に一人で飛び出した息子さんの勇気、素晴らしいですね!
    お母さんの思いを受け止めて、きっとひとまわりもふたまわりも
    たくましくなって帰ってくるんでしょうね。
    そんな息子さんに負けず日本で頑張るPuaさん。
    なんだか素敵な親子だなぁ。。。

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